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INTERVIEW

INTERVIEW 004

2018 Sep 18

エンジニアに投資は惜しまない。
旬の技術を駆使して自らサービスを創り出せる、そんな組織でありたい。

福村氏(メドピア)のプロダクトマネージャーインタビュー

PROFILE

メドピア株式会社 執行役員 CTO 福村 彰展 氏

2004年に横浜市立大学理学部卒業後、SIerに入社。主に大手ISPのサービス開発に従事。2006年に株式会社ミクシィに入社。同社の転職サイト“Find Job!”の開発責任者を務めた後、新規事業室に移り、新サービスの開発をリード。2012年3月にメドピアに入社し、2014年に当社執行役員に就任。CTOを務め、“MedPeer”をはじめとしたサービス開発を統括している。2014年11月の「第2回 Startup Weekend Yokohama」や、2015年10月の「Startup Weekend Tokyo Healthcare」では審査員を務める。

医療情報のプラットフォームを最適なアーキテクチャで構築。

及川

福村さんがCTOを務められるメドピアでは、いまどのような事業を展開していらっしゃるのですか。

福村

当社はドクタープラットフォームを活用した事業を開発運営している企業です。創業者である代表の石見(陽氏)は現役の医師であり、彼が中心となって立ち上げた医師専用のコミュニティサイト“MedPeer”が主力サービスです。

及川

私は前職のIncrementsでQiitaの開発運営を手がけていたのですが、“MedPeer”はいわば医師向けのQiitaのようなイメージでしょうか。

福村

イメージは近いかもしれません。かつて石見が、医師がそれぞれ持っている知見を全国レベルで共有できるWEB上のコミュニティの必要性を強く感じ、学会でビラを配って7000人の会員を集めたのが“MedPeer”のスタートです。UGC型のコミュニティサイトで会員数はいまや10万人に達しており、日本の医師の3人に1人が“MedPeer”の会員です。

及川

医師の3人に1人が利用しているというのは凄いですね。

福村

こうして我々は“MedPeer”を通じて医師のネットワークを形成してきたわけですが、近年はこのプラットフォームをもとにM&Aなどで事業を大きく拡げています。
 
オンラインで医師に健康相談を行うことができるサービス“first call”を運営する企業や、管理栄養士による食事コーディネートサービスの“Diet Plus”を運営する企業を傘下に収め、“MedPeer”とのシナジーでさらなる価値向上を図っています。

及川

新たに始められたオンライン健康相談サービスや食事コーディネートサービスは完全BtoC向けなのですか。

福村

オンライン健康相談サービスの“first call”は、開始当初はBtoCがメインでしたが、企業の福利厚生として活用いただいたほうが多くの方にリーチできると考え、最近はBtoBのマーケット開拓に力を入れています。
 
健康相談に加えて、「オンライン産業医」というサービスも開始しました。産業医面談のニーズは高まっていますが、産業医は通常月1回程度しか企業に訪問しません。first callの産業医だと、訪問はもちろん、訪問日以外もオンラインで産業医面談を実施できます。

及川

私はスタートアップの支援に関わる機会が多いのでよく耳にするのですが、従業員が50名を超えると産業医を一人雇わなければならなく、この産業医を確保するのがなかなか大変だと。このサービスはスタートアップ企業にとってもお勧めできますね。

福村

管理栄養士が食事のアドバイスを行う“Diet Plus”も、健康保険組合向けにメタボ改善指導を行うなどBtoBの領域にもサービスを拡げています。こうした保健指導は医師との親和性も高く、“MedPeer”とのシナジーをさらに発揮させる上でも有望なソリューションだと捉えています。

及川

いま御社は“MedPeer”“first call”“Diet Plus”と大きく3つのサービスを展開されていますが、技術的にはどのようなアーキテククチャを採用しているのでしょうか。

福村

“MedPeer”はもともとPHPによる独自フレームワークで開発していましたが、サービスの拡大にともなって設計思想やメンテナンスなどに限界を感じるようになり、もっと強力なフレームワークを導入しようと、2年ほど前に社内のエンジニアたちと議論してRuby on Railsに切り替えました。
 
強力なgemや情報量の多さ、コミュニティの活発さなどから、やはりRailsがいいと判断しました。それ以降“MedPeer”の新規開発案件はRailsを採用しており、既存のサービスも折を見て置き換えていく方針です。 “first call”と“Diet Plus”は、買収したこともあって異なる技術基盤を用いており、それぞれC#、Perl/PHPで動いていますが、こちらもゆくゆくはRailsにしていく考えです。

及川

3つのサービスのユーザー情報は連携させているのですか。

福村

“MedPeer”のサイト内にある、医師がコメントを投稿するサービスと医師の転職情報を紹介するサービスは、GoでAPIゲートを立て医師間のデータをマイクロサービスでつなげる形を取っています。“first call”と“Diet Plus”とはまだ連携できていないのが実状で、いま整備を進めているところです。

及川

Goを採用されたのはどのような理由からですか。

福村

当時いちばん流行っていたからです(笑)。また、社内には型が好きなエンジニアが多かったので、いきなりScalaに行くよりはGoを採用したほうがいいだろうという考えもありました。

エンジニアが好きに学べる自由な文化を醸成し、組織を強くする。

及川

インフラはどのような基盤になっているのでしょう。AWSですか?

福村

はい。“MedPeer”はAWSベースです。最初に導入したのは2013年で、AWSの東京リージョンができた時にいち早く食いつきました。当時はまだAzureもGCPもなかった頃でした。“first call”と“Diet Plus”も近いうちにAWSに移行する予定です。

及川

先ほどお話のあった“MedPeer”のマイクロサービスは コンテナ化されてDockerになっているのですか。

福村

“イシコメ”というヘルスケアメディアで新しく始めた、医師への公開型Q&Aサービスでは、医師が回答コメントを投稿する機能でコンテナを使っています。ECS+ECRで構成しており、いまFargate の導入を進めています。
 
当社は「これは良い!良さそうだ!」と思ったことはすぐに試す文化があって、新技術の発掘や習得のために社外へ勉強に出かけることも推奨しています。
 
社内では、Slackでチャネルを作って常に勉強会の情報交換をしていますし、有料のセミナーへの参加も会社が支援しています。先般開催された国内のRubyKaigiにも当社のエンジニアが大挙して参加しました。
 
現在、社内のエンジニアは約20名で、そのうち15人ほどがRubyに関わるメンバーですが、参加を希望した11人を全員社費で派遣しました。

及川

会社としてエンジニアの能力向上にとても力を入れていらっしゃるのですね。腕を磨きたいエンジニアにとって凄く魅力的な文化です。そのほか、強い開発組織を作るために取り組まれていることはありますか。

福村

2013年から年3回、2泊3日でエンジニアの開発合宿を行っています。この合宿の目的はいくつかあって、ひとつは個人の技術研鑽。気になっている技術やツールを深掘りし、エンジニアとしての知見を広げていく。
 
また、経営層からのリクエストを受け、有志がチームを組んで新しい機能の開発に取り組んだりもしています。先日は伊豆大島で合宿を行い、私自身はそれまで気になっていながら、ちゃんと触ったことのなかったFirebaseを検証しました。
 
若手のメンバーたちは、 2泊3日で“MedPeer”の新サービスのプロトタイプを作り上げ、合宿後、セールスの担当者が嬉々としてそれをお客様へご提案に行ってましたね。

及川

たいへん有意義な合宿ですね。

福村

限られた時間のなかで成果を出すことを求められるので、特に若手のポテンシャル層にとって、この合宿は本当に成長できる機会だと思います。
 
ちなみに、先ほどお話ししたRubyKaigiの翌月に伊豆大島での合宿を開催したのですが、こうして業務に直接的には関係ないイベントへの投資を許してくれる経営陣にはとても感謝しています。

及川

経営陣がテクノロジーの重要性を非常に強く理解されているということでしょうか。

福村

代表石見の祖父が大工でして、常々「モノづくりへの尊敬の念」を言葉にしており、こうした石見の思想もエンジニアをリスペクトする風土に繋がっているのだと思います。

及川

普段の業務のなかで、何か開発力を向上させるために工夫されていることはありますか。

福村

毎週、プルリクを振り返る会をやっています。その場ではリーダーもメンバーも関係なく、守ってほしいことを述べあって共有しています。さらにメンバーから出たコーディングに関する所感をドキュメントにして技術スタックにしています。

及川

それはいいですね。コードレビューというのは属人的になりがちなので、そこは共通化すべきですし、メンバーレベルのエンジニアも自由にモノが言えるのはとても良い文化が醸成されているように感じます。そうした素敵な取り組みは、ぜひ開発ブログで外部に発信してはいかがですか。

福村

ありがとうございます。発信頑張ります(笑)。発信といえばエンジニアチーム内でのLT(ライトニングトーク)も定期的に行っています。
 
技術ネタだけではなく、新たに入社した人の自己紹介などもそこでやっているので、最近はエンジニア以外のメンバーも普通に参加して我々のLTを聞いてくれています。この間のLTは、参加者用にお寿司を30人前頼んだのですが、それでも足りなくなって……(笑)。でも、こうして社内の他部門から関心を持ってもらえるのはうれしいですね。

及川

他の企業では、エンジニアとビジネス部門の方がうまく交流できないというケースをよく聞きますが、御社ではそうした壁がまったくなさそうですね。雰囲気の良さが伝わってきます。

福村

セールスの部門とも仲が良くて、よく一緒にフットサルをやっています。また、オフィスのイベントスペースを開放して、外部の技術者との方々との交流も積極的に行っています。
 
例えば毎月第3火曜日は、「Ginza.rb」というRuby技術者の地域コミュニティを弊社の会場で開催してもらっています。あらゆる面でオープンであり、まさにメドピアらしいカルチャーだと思います。

身につけた技術で新しいサービスを1から10まで自分で創る。

及川

福村さんご自身のことについてもおうかがいしたいのですが、ご経歴を教えていただけますか。

福村

私は大学卒業後、2年ほどSIerに勤務し、PerlやPHPで某大手ISPのシステム開発に携わりました。そこで自社サービスの開発がしたいという思いが湧き、2006年にミクシィに転職。
 
実はSIerにいた時はプログラミングが面白くなくて、プロジェクトを回すほうを志向していたのですが、ミクシイで楽しそうにプログラムを書く先輩方に囲まれて意識が変わったんです。
 
ミクシィでは転職サイト“Find Job!”のサービス開発を先輩二人と担ったのですが、オープンソースにコミットしたがる先輩と、とにかく事業を成長させたがる先輩から大いに影響を受けて、コーディング能力とビジネス感覚がともに磨かれました。そして2012年にメドピアへ転職しました。

及川

メドピアに入社されたのは、どのようなお考えからですか。

福村

ミクシィで上場を経験し、次も上場を目指せる会社でキャリアを積みたいと考えていました。そんな折、メドピアに出会ってたいへん興味を覚えたのです。
 
当時、世の中にはオープンソーシャルの波が押し寄せていて、すでに“MedPeer”は3万5000人ほどの会員を抱えており、この医者のデータをオープン化したら面白いんじゃないかと。このプラットフォームの上で新たなサービスを創り出せる可能性を大いに感じてメドピアに入社しました。

及川

メドピアは医療に対しての課題感が創業の源にあるとのことですが、御社のサービスはいまどのように進化しているのでしょうか。

福村

我々の事業はいまフェーズ3に突入する段階にあると捉えています。医師のネットワークを形成し、集合知によって質の高い医療を実現したいという思いから“MedPeer”を起ち上げましたが、すでに日本の医師の3人に1人が会員となり、社会に一定のインパクトを与えられるまでには成長しました。
 
これをフェーズ1だとすると、続くフェーズ2は当社が築いた医師のコミュニティと一般消費者を繋げることで、付加価値の高いサービスの実現を図ってきました。

及川

それが先ほどお話があった“first call”と“Diet Plus”なのですね。

福村

そうです。オンライン健康相談も、医師のコミュニティが裏にあればスケールできますし、オンライン産業医など特化型のサービスも創り出して横展開できる。そしてフェーズ3は、ネットとリアルを融合しながら、新たなサービスを創造していくことを目指しています。
 
先日、大手ドラッグストアチェーンのスギ薬局グループと業務資本提携を行ったのもその一環であり、スギ薬局さんが抱える全国の店舗と顧客基盤、そして膨大なデータを利活用して、「IT×地域密着」で独自の医療サービスを開発提供していきたいと考えています。

及川

ということは、今後はデータサイエンスの知見も必要になってきますね。

福村

おっしゃる通りで、大きなデータを扱うことから機械学習は取り入れたいと考えていて、Rubyにこだわらず、そこはたとえばPyhtonが最適ならPythonでシステムを構築していく方針です。

及川

事業の拡大にともなってエンジニアの採用にも力を入れていらっしゃるかと思いますが、どのような人材を求めているのでしょうか。

福村

技術が好きというマインドを持ちつつ、事業に目が向いているエンジニアがいいですね。先ほどお話ししました通り、いまスギ薬局さんとのアライアンスによるプロジェクトがいくつも走っており、複数の新規事業を一気に起ち上げようとしています。
 
ですから、技術研鑽を積みながら、身につけた技術を駆使して何か新しいサービスを創りたい、という志向のお持ちの方ならまさに0からの立ち上げをお任せ出来る状況です。

及川

いまメドピアに参加すると非常にエキサイティングなチャンスを手に入れることが出来ると。技術力を高めるために学ぶことが好き。学び身に付けた技術でこんなことが実現したい、と明確な想いを持っている人にはとても良い環境ですね。

福村

自発的にやろうと思えば、メドピアでは基本的に何でもできます。私もサービスを創るからには1から10まですべて自分でやりたいという性分なので、同じような感覚を持っている人を歓迎したいと思っています。
 
おっしゃっていただいたとおり、技術が好き、学ぶことが好き、発信することが好き、実現したいことがある、こんな方に参画頂いて、もっともっと強くて幸せなチームをつくっていきたいと思っています。それが、CTOとしての自分のミッションです。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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