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INTERVIEW

INTERVIEW 007

2020 May 28

日本の住宅建築業界の変革に挑む。
顧客と直に接し、高い解像度で現場を理解、課題解決のプロダクトを創る。

山口氏(アンドパッド)のプロダクトマネージャーインタビュー

PROFILE

株式会社アンドパッド VPoP 山口 隆志 氏

卒業後、デジタル系のデザイナーとしてキャリアをスタート。90年代後半に大阪有線放送社(現USEN)にてインターネット事業部の立ち上げに関わり、その後、ヤフーに転職してWeb制作に従事。リクルートに移籍して主に不動産情報サイト「SUUMO」のサービス開発やWeb制作のマネジメントに携わった後、ヤフーに復帰し「Yahoo!不動産」のサービスマネージャーを務める。2020年1月よりアンドパッドに参画し、現在プロダクト責任者としてサービス開発全般を統括している。

この業界は情報の透明性に問題がある。それをアンドパッドが変えていきたい。

及川

まずは御社が手がける事業についてご紹介いただけますか。

山口

アンドパッドは主に住宅建築業界に向けた業務支援ツールを開発提供しています。主力プロダクトである施工現場のプロジェクト管理ツール「ANDPAD」は、現在2000社を超える企業にご契約いただいており、この分野でシェアNo.1を誇っています。主力の施工管理以外にも、さまざまな分野でご利用いただけるサービスのリリースを計画しており、成長途上にあるベンチャーです。

及川

山口さんは過去、ヤフーやリクルートでネットサービスの開発をしていらっしゃったとのことですが、今回、住宅建築業界にフォーカスした事業を展開するアンドパッドに参画されたのはどのようなお考えからですか。

山口

この業界に興味を持ったのは、以前に在籍していたリクルートで不動産情報サイトの「SUUMO」のサービス開発に関わったことがきっかけでした。
 
そこで日本の住宅の流通には大きな課題があると感じ、業界構造そのものを変革して課題を解決したいと強く思うようになったのです。そんな折、古巣のヤフーでかつての上司から「その課題をヤフーで解決しないか」と誘われて復帰を決意。
 
当時のヤフーは「課題解決エンジン」を標榜していて、自分がやりたいことができそうだと感じたんですね。そして再入社後は「Yahoo!不動産」のプロダクトマネージャーを務め、ソニー不動産(現SRE不動産)と提携して「おうちダイレクト」という、個人が自由に不動産を売り出せる画期的なプラットフォームも開発しました。
 
遣り甲斐は感じてはいましたが、自身のポジション変化等により次第に窮屈さを覚えるようになり、住宅の建設や流通に関する課題を解決できる場が他にないかと探していたところ、出会ったのがこのアンドパッドでした。

及川

この業界に疎くて申し訳ないのですが、どんな課題を抱えていて、どのような解決策が求められているのでしょうか。

山口

業界の課題を一言でいえば、情報の透明性に問題があるということです。
 
現状、日本の住宅というのは20年で価値がゼロになるという課題があります。減価償却の考え方で住宅の価値が判断されている。一方、アメリカでは築年数が経てば経つほど住宅の価値が上がっていくケースも珍しくない。
 
日本とは正反対で、なぜそうなるのかといえば、アメリカでは住宅を建てたり直したりした記録が公的機関によってきちんと管理されているから。質の良い住宅なのかどうか、その根拠が明示されているので年数が経っても価値が担保される。
 
しかし日本では、住宅がどう作られてどんな手が加えられたかという情報が記録されておらず、管理もされていない。物件の価値に関する情報が不透明で、一般のユーザーが不利益を被っているのがいまの日本の住宅建築業界なのです。
 
また建築の現場においても、本当に良い住宅を作ろうと頑張っている、職人の頑張り、仕事ぶりにフォーカスが当たりづらい。そうした業界構造を変えていきたいのです。

業界に携わるあらゆるレイヤーの顧客の声を聴き、プロダクトを企画。

及川

山口さんは、日本の住宅建築業界が抱える課題を解決することで不動産の価値を高め、社会に貢献しようとされているのですね。そこにアンドパッドのサービスはどのように寄与していくのでしょうか。

山口

たとえば我々が提供する「ANDPAD」はクラウド型のプロジェクト管理ツールであり、導入いただいている各社の建築現場が記録されています。
 
記録された情報を活用することで、職人さんにとっては事例を残すなどの横展開ができる。情報を組み合わせてデータベース化し、建築品質をあげるためのツールとして活用することもできると考えています。手段はどうであれ、我々が得た情報で課題の解決を図り、日本の住宅状況を改善できればと考えています。

及川

お話をうかがっていると、住宅建築の履歴情報を蓄積して価値を保つという取り組みは、ソフトウェアの開発とも通じるところがありますね。
 
リポジトリを設けて、Gitのようなバージョン管理ツールでソースコードの変更履歴を残すのがまさにそう。誰がいつどんな手を加えたかということがコードを見れば一目瞭然であり、履歴情報をきちんと管理することで、ソフトウェアの価値を長く保たせることができる。それが結果として開発の合理化にも繋がっていきますし、そういう意味で似ているように感じます。

山口

まさにおっしゃる通りですね。

及川

さらに具体的にお話をおうかがいしたいのですが、アンドパッドのプロダクトマネージャー(PdM)は実際どのような仕事を担っていらっしゃるのでしょうか。

山口

世の中一般でいうWebサービス企画の仕事が一番近いかもしれません。我々が提供しているのは建築現場の業務を支援するサービスなので、まずは建設会社の顧客のもとにおうかがいして要望や課題を収集し、何を開発すべきかを考え、それを要件に落とし込んでエンジニア陣を指揮し、スケジュールを切ってリリースまでマネジメントしていくことがミッションです。

及川

PdMが顧客と直に接する機会も多いのでしょうか。

山口

ええ。顧客との距離が非常に近いのが当社のビジネスの大きな特徴だと思います。私自身、これまでBtoCの事業ばかりに携わっていたのでBtoBは新鮮ですし、なかでもこのサービス開発はユーザーに直接インタビューして不満の声を聞けるのが面白いですね。

及川

いま山口さんがおっしゃったユーザーというのは、具体的にどのような方々ですか。

山口

建設会社の社長をはじめ経営者の方からヒアリングする機会も多いですし、また建築現場の施工監督や職人のみなさんから話をうかがう場面もたくさんある。住宅建築業界にかかわるあらゆるレイヤーの方々とコミュニケーションが取れるので、きわめて高い解像度で課題を理解できる。それが当社の大きな強みだと捉えています。

住宅建築業界は面白い。サービス開発マインドを大いにそそられる。

及川

ユーザーとリアルに対面できる場があるというのは、サービス開発に携わる者としてとても恵まれた環境だと思います。御社は意図的に顧客との距離を縮める努力をされているのでしょうか。

山口

そうです。会社として「顧客を深く理解し、顧客に真に役立つものを作ろう」という姿勢が浸透しています。
 
たとえば、建設業に携わる方のなかにはITリテラシーが高くないお客様も多く、我々のツールを現場でスムーズに活用していただけるよう、お客様向けに月100回以上もの説明会を実施しています。その場にPdMをはじめエンジニアも参加するよう促しています。その研修でお客様の生の声に触れ、シーズやニーズをキャッチアップして新たなサービス開発に繋げています。

及川

PdMはともかく、エンジニアの中にはコミュニケーションが苦手で顧客に会うことに抵抗がある人も多いように思います。また建設業界は少し特殊でとっつきにくいイメージもありますが、アンドパッドのメンバーの方々はみなさん積極的に顧客と関わっていらっしゃるのでしょうか。

山口

アンドパッドに入社するまで住宅建築業界にまったく馴染みのなかったメンバーも多いのですが、不思議なことにみな一定期間経つとこの業界に興味を持つようになります。
 
エンジニアたちに「一緒にお客様のところに行こう」と声をかけると進んで同行してくれますし、サービス開発志向の強い人間にとっては好奇心をそそられる業界なのだと思います。

及川

組織のことについてもお尋ねしたいのですが、現在、アンドパッドでは何名のPdMがいらっしゃるのでしょうか。

山口

いまPdMは7名います。現在も社内では多くのサービスが稼働しており、それぞれ収益管理も含めて複数担当しています。ちょうど私が入社したタイミングでPdMのチームが発足し、今後プロダクトマネジメントをいっそう強化していく方針。アンドパッドに適した手法やフレームワークなどもこれから整備して確立していきます。

及川

私は常々、PdMというのはミニCEO、すなわちプロダクト開発の最終意思決定を行うことができるポジションだと言っているのですが、どこまでPdMに意思決定が委ねられているかは各社それぞれ実情が異なるようです。御社の場合はいかがですか。

山口

プロダクトの機能の改善や追加については、顧客と接点のある営業やCS(カスタマーサポート)と調整できればPdMの判断で実行できます。一方、新たなプロダクトを開発する際はCEOの稲田(武夫氏)が関わり、彼と議論しながら進めていきます。

及川

御社のプロダクトはどのような方向性のもとで開発されているのでしょうか。

山口

主力プロダクトである「ANDPAD(施工管理)」と連携し、その価値をさらに高めていくようなプロダクトの開発を図っています。
 
たとえばいま建築材料の受発注を効率化するプロダクトの開発なども進めていますが、それもすでに普及している「ANDPAD」と連携させることで本当にユーザーに届くサービスになる。こうしたアプローチで住宅建築業界が抱える課題を解決し、現場から産業構造を変革していくというミッションをかなえていきたいと考えています。

アンドパッドで経験を積めば、きっとスーパーゼネラリストになれる。

及川

御社が求めるPdM像についておうかがいします。どのような資質や能力を持つ人材がアンドパッドにふさわしいとお考えですか。

山口

エンジニアリングに関する基本的な理解、たとえばコードレビューできるぐらいのスキルは必要ですね。
 
一方で住宅建築業界に携わった経験のある人はなかなかいないと思いますので、この業界に関する知見は求めていません。キャリアを積むうちに業界に対しては大いに興味が湧くはず。そこで疑問を感じたことに自分からアプローチし、解決を推進していく姿勢を期待したいです。
 
さらに言えば、Webのプロダクトなら当たり前のユーザビリティが、実はこの業界のお客様には通用しないなど、これまで築いてきた自分の常識が覆されるケースも少なくない。そうした状況にも臆せず対応し、お客様に使っていただくためには何をすべきかを柔軟に考えられる力も求められますね。要はアンラーニングできるかどうかということです。

及川

採用時、候補者がアンラーニングできる人材かどうかはどのように見極めていらっしゃるのでしょうか。

山口

面接で経歴をおうかがいし、それまで成功体験を積まれている方が、自ら課題感をもってキャリアを変えているようであれば十分アンラーニングできる人材だと判断しています。
 
また当社はCEOの稲田も直々に面接にあたっていますが、彼はけっして自社を魅力的に訴えかけません。アンドパッドに参画すればアンラーニングが求められること、そしてそのアンラーニングが容易ではないことをひたすら説く。
 
我々のビジネスは現場で泥臭く顧客とコミュニケーションを取り、顧客を理解することが何よりも重要であり、それを厭うような人は務まらない。実情を隠さずお話しして、それでもアンドパッドに入社したいという意思のある方をお迎えしています。

及川

その面接手法は面白いですね。そうしたアンラーニングが求められても、敢えて住宅建築業界に関わる醍醐味はどこにあるとお考えですか。

山口

やはりそのスケール感ですね。建設業は国内でも屈指の市場規模を持つ産業ですし、変革できれば社会に大きなインパクトを与えることになる。自分が繰り出す一つ一つの打ち手が、業界を変えていく大きなうねりになることが容易に想像できる。それがアンドパッドでPdMを担う醍醐味ではないでしょうか。

及川

そのほか、アンドパッドでPdMとしてキャリアを積む魅力を挙げていただけますか。

山口

本当に幅広い経験ができるポジションだと思います。住宅建築のビジネスを理解した上で自らサービスを企画し、開発にも深く入り込んで各論にも強くなれる。顧客と直にコミュニケーションできる機会も多い。
 
かつてリクルートで「SUUMO」を手掛けていた時は、開発要件を定義する部隊が別に存在していて、クライアントのもとに赴くことも奨励されていませんでした。また、ヤフー社内でプロダクトマネージャーを務めていた時は、社内の業務分掌が完成されており、得意分野は専門のエンジニア、デザイナーが活躍するというスタイル。
 
一方、アンドパッドはすべてのプロセスに深く関与することが求められるため、必然的にスーパーゼネラリストになる経験が積める。

及川

私もPdMというのは究極のゼネラリストだと思っていますので、まさにそれがかなう環境だということですね。

山口

この規模でこれほど大きな裁量をもってプロダクト開発ができる場は他にそうないと思います。意志を持って行動できる人にはとても楽しい企業だとお勧めしたいですね。

※インタビュー内容、企業情報等はすべて取材当時のものです。

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